2018/09/04

平熱の光

 

わたしはあまり熱量のない映画が好きで 特に画面の光加減を気にしてしまう 普段日常で自分が見ている世界と同じような彩度や温度の光を撮っている映画だけを見ていたい

その点 岩井俊二の作品は完璧だ リップヴァンウィンクルの花嫁を映画館で見たとき 自分がその場にいるように感じるほどリアルな光で怖いほどだった

二重生活もいい 天気が曇っているような印象の光が好きなのかもしれない 

あまり派手な事件性がなくていい 主人公本人のごく個人的な出来事、社会的には事件性は高くないけれどその主人公の周囲を少しずつ巻き込んで狂わせていくような話が好きなのだと思う 

そういった映画ばかり見ていると普段の自分の生活も映画の一部のような気がしてきてごく平凡な日常でも愛しく思える

風の強いなか窓を開けてヒラヒラ動くカーテンを眺めてベッドに横たわりながら外の音を聞いている そんな今日も愛しい一日だと思う